活用力
“もったいない”から生まれた果汁ポン酢
捨てられる能古島特産を救済せよ!
福岡県は博多湾の中央に浮かび、菜の花やコスモスの時期は行楽地として多くの人が訪れる能古島。そこで春から初夏にかけて収穫される能古島特産の果実が、爽やかな酸味が人気のニューサマーオレンジです。
ニューサマーオレンジは、収穫までの栽培過程で、青いうちに実を間引くという作業があります。この時に間引かれた青い果実は、非常に酸味が強く、売り物にならないとずっと捨てられてきました。しかし、捨てるのはもったいない…とのことから、何か使い道はないものかと相談を受けたのが「のこぽん」誕生のはじまりでした。
酸味が少なく、やわらかい味は、
子どもの口にもぴったり
青くて堅いニューサマーオレンジの果実。どんなものかと搾ってみると、苦みと酸味は強いものの、後口はさっぱりと香りも高く、「これは、ポン酢に合うかも!」と閃きました。
ただ、閃きから、商品化への道のりは一筋縄でいくものではありません。「果汁はしっかり、酸味は少なく」をテーマにかかげて始めたポン酢づくり。果汁の苦みと酸味を生かしつつも、あまり果汁が強すぎると美味しさが半減してしまいます。米酢を使用して味にまろやかさを加えてみたり、果汁と酢の最適な配分量を幾度も調整したり…。試行錯誤を重ね、酸味が少ない、柔らかでマイルドな味に仕上げることができた「のこぽん」は、かぼすやすだちといった柑橘類とはひと味違う、オレンジ生まれのやさしい甘さが残ることから、予想外にもお子さまにも大好評のポン酢になりました。
収穫年で味わいも違えば、
できる本数も違う!
誕生から十数年。今では、売り切れごめんの人気商品に成長した「のこぽん」。最大の特長は、何と言っても天然果汁が入っていること。実は、これが一番の作り手泣かせなのです。
「のこぽん」に使用する青いニューサマーオレンジの収穫時期は、正規の甘く実ったニューサマーオレンジと比べ、収穫時期も量も制限があり、1年で収穫できるのは10〜11月の間だけしかなく、「のこぽん」に使える果実量も僅かでしかありません。
10〜11月は、私たちも「のこぽん」づくりに集中。収穫された果実を、一つひとつ手で搾っていきます。そして、すぐさま冷凍へ。
保存料を一切使用していない「のこぽん」では、一年を通して新鮮な果汁感を味わってもらうため、ある一定の受注に応じてその都度果汁を解凍してつくっています。
収穫年で、できる本数も違う。まさに天然本果汁搾りだからこその「のこぽん」。自慢の逸品です。